神は、ネット上の商取引と利潤追求が、何世紀も続いてきた従来の(ブリック・アンド・モルタル系の)資本主義と似たようなものになることを、少しもお許しにならなかった。あまりに安易すぎるからである。しかしいまや話は全く別になった。その新しいルールとは…。この経済の変化に順応できるか、さもなくばサラバ、である。少なくともこれが本書に込められたメッセージだ。 ニューメディア・シンクタンク「コンバージング型テクノロジー会議」の主席サイバーコンサルタント3名(ベストセラー『The Digital Economy』 と『Growing Up Digital』の著者ドン・タプスコットもメンバーの1人)は、「ビジネス・ウェブ」(略して「bウェブ」)こそが地球を支配するパラダイムになると語っている。著者によると、bウェブとは「デジタルチャネルを通じてビジネスの情報伝達や取引を行う人々、すなわち生産者、供給者、サービス提供者、インフラ企業、そして顧客を戦略的に配列した複合型企業の提携ネットワーク」のことだ。例を挙げれば、eBay、シスコシステムズ、デル、MP3.com など、つまりは、(1)他の商品やサービス提供者と横のつながりを結ぶノウハウを知っており、(2)ほぼすべてをインターネットでまかなうことで、時間、金、労働力は言うまでもなく、飛行機、鉄道、自動車といった輸送プロセスも省いている、という企業のことである。著者はこれらの企業に加え、「チャールズ・シュワブ」「プライスライン・ドット・コム」「ウェブヴァン」「AT&Tソリューションズ」「オプティマーク」といったbウェブのケーススタディーを紹介し、独自のbウェブを作るための段階的プロセスも大まかに説明している。 とはいえ、そういった洞察に富む見解も、無念なことに一般的語彙とは似ても似つかぬシンクタンク専門用語で説明されていて、やたらと難解だ。たとえば次の一文である。「構成要素の分解は結果的にディスインターメディエーションとリインターメディエーションに通じる」。これはなにも、フランス映画解説者がバーで使う口説き文句ではない。かみ砕いて言えば、ビジネス・ウェブが、既存の生産者と顧客間の中間プロセスの多くを省くことに成功した、ということ。じゃあなんでそう言わないんだ?である。しかし読者はめげずに読み進めるべし。この自己中心的MBAホルダーたちの言葉を少しずつ消化していけば、オンラインショップが21世紀初めの資本主義の配線をどうつなぎ直すか、明確に見通せるようになるのだから。
インターネットビジネスの新しい指針
「インターネットビジネス」と一言でいっても、その種類は多種多様。インターネットで成功した会社の解説本や、インターネット技術を主眼とする説明書はこれまでにもあったが、「bウェブ」という新しい概念でビジネスモデルを分類し、その特徴を理路整然と説明した上で、実際のビジネスヒントを提供する本書は、実に革新的で意欲的な秀逸の作品。
インプレス
「個」客革命 イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)
|